3Dプリンタは、3Dデータを元に動作し(正確にはGコードなどのツールパスデータを元に動作するのだが、その元となるのが3Dデータである)、物体を造形する装置である。

しかし、一口に3Dデータといっても、その形式はさまざまだ。例えば、動画データには、QuickTime形式やAVI形式、MP4形式などさまざまな形式(フォーマット)があり、動画再生ソフトや動画編集ソフトによって対応している形式が異なる。

3Dデータも事情は全く同じで、3D CADソフトや3D CGソフトによって対応している形式が異なる。ほとんどの3D CADソフトや3D CGソフトは複数のデータ形式に対応しているが、標準で保存される形式はソフトによって異なる。ソフトによって保存するデータ形式が異なっていては、3Dプリンタ側でその全てに対応するのは困難だ。そこで、3Dプリンタでは通常、STL(STereoLithography)形式と呼ばれる3Dデータ形式が使われている。

STL形式は、立体の表面を数多くの3角形(ポリゴン)で近似して表す、ポリゴンフォーマットの1種だ。STL形式で扱えるのは、あくまでポリゴンの集合体であり、曲面をそのまま取り扱うことはできないが、ポリゴンの分割数を増やしてより細かな3角形で近似するようにすれば、曲面のように見える。また、STL形式は色情報も持たないため、基本的に単色で出力する熱溶解積層方式や光造形方式、粉末焼結方式の3Dプリンタで使われ、フルカラーでの出力が可能な粉末石膏方式の3Dプリンタでは、PLY形式、VRML形式といった色情報を持った3Dデータ形式が利用されている。